建物の次は、看板でした。
景観地区で建物の形と色を決めたあとも、屋外の広告については兵庫県の条例に従っていました。市独自の基準がなかった。そこに、最後の一手が打たれます。
平成二十八年七月、芦屋市屋外広告物条例が施行されました。
市域を七つの区域に分け、それぞれで看板の大きさ、文字の大きさ、使える色を定めています。山麓地域、住宅地域、複合地域、芦屋川の沿岸、南芦屋浜。区域ごとに、許される範囲が違う。
区域の分け方は、土地の使われ方に沿っています。山麓地域は市街化調整区域、つまり山側で、そもそも建物が少ない場所です。住宅地域は低層と中高層の住居専用地域。複合地域は、住居と商業が混じる地域です。看板がいちばん多く出るのは複合地域ですが、そこでも基準は緩くありません。
全域で禁止されたものがあります。屋上に載せる広告。建物の壁から突き出す看板。ネオンサイン。回転灯。LEDの使用。アドバルーン。蛍光塗料。派手な原色を組み合わせた広告。
文字は、一文字あたり一平方メートル以下。芦屋川の沿岸では、黄色とピンクが使えません。
屋上の広告は、
市内のどこにも置けません。
条例ができた時点で、市に届け出のあった屋外広告は八百四十五件ありました。新しい基準を当てると、そのうち三百十八件が合わなくなります。およそ四割です。
四割の看板に、消えてもらうことになった。地元の商工会から反発の声が出たことも、報道されています。当時の市長は、この条例について、百年後の市民から感謝されるはずだ、という趣旨のことを語っていました。
いま出ている看板の四割を、百年後のために外す。そういう決め方です。
既存の広告には、三年から十年の猶予期間が設けられました。撤去や改修に助成が出る仕組みも、あわせて用意されています。十年の猶予は、令和八年の七月で終わりました。今年です。