阪急芦屋川駅の改札を出て、川に沿って北へ歩きます。住宅地です。石垣があって、生垣があって、車が停まっている。二十分ほど歩いても、まだ住宅地です。それがある地点で、ふっと終わります。家が途切れて、道が細くなり、足の下が土になる。
さらに進むと高座の滝です。落差はおよそ十メートル。雄滝と雌滝の二本からなり、かつては修験者が滝に打たれた場所でした。
二十五分歩けば、
道が岩になります。
滝の左手の岩壁に、藤木九三という人のレリーフが埋め込まれています。藤木は一九二四年、岩登りを目的とした山岳会を仲間と作り、家から近かったこの一帯の岩場を練習場に選びました。ロックガーデンという呼び名は、そのときに彼がつけたものです。日本のロッククライミング発祥の地と呼ばれるのは、そういう経緯からです。
ここから先は、標高四百四十七メートルの風吹岩を経て六甲の山頂へ続いています。休日の朝、阪急芦屋川駅の改札から登山の格好をした人が出てくるのは、そのためです。
電車を降りてから二十五分。この距離感が、芦屋のすべてを説明していると思います。